亡くなった後の相続手続き ⑦遺産の分け方を決める|遺産分割協議書
相続人が確定し、相続財産を相続すると決めた場合、遺言書があれば遺言書にしたがって財産を分割します。遺言書がなければ相続人全員で遺産をどう分けるか話し合いを行います。(遺産分割協議)
目次
遺言書の内容の実行
家庭裁判所の検認済みの遺言書、公正証書遺言書がある場合には、原則として遺言内容に従って遺産を分割します。
遺言書の内容で、すべての遺産についてもらい受ける権利がある人がそれぞれ定められている場合は、遺産分割協議は必要なく、そのまま相続手続きに移ることができます。
遺言書に記載されていない財産
遺言書に記載されていない財産がある場合は、「遺産分割協議」によって分割方法を決める必要があります。
一部の法定相続人には遺留分がある
一部の法定相続人には「遺留分」といって、最低限の遺産が受け取れる権利があります。
たとえば「第三者に全財産を相続させる」といった遺言書が見つかったとしても、遺留分をもらえる権利がありますので、請求が可能です。
遺言書の内容と違う分割方法も
原則として遺言内容に従って遺産を分割します 。ただ、法律は遺言書の内容と異なる遺産分割は禁じていません。遺言によって財産をもらい受ける人全員が遺言内容を把握した上で、遺言と異なる遺産分割をすることに同意がある等の条件を満たす場合は、例外的に、遺言の内容と異なる遺産分割をすることも可能です。
遺言書がない場合の手続き
遺言書がない場合は、相続人全員で遺産の分け方について話し合い、決まったことを「遺産分割協議書」にします。遺産分割協議書は、不動産の相続登記や、預貯金等の手続きでも必要になる重要な書類ですので不備なく作成する必要があります。
遺産の分け方の種類
遺産の分け方にも複数の方法があります。遺産を均等に分けるというのは現実的でないものもあります。下記が主な種類です。参考に分割協議をすすめてください。
現物分割
遺産をその状態のまま相続することです。 例えば相続人が3人いる場合、1人が車、1人が現金、1人が家、といったように分ける方法です。
換価分割
土地などを売って現金に換金して相続人同士で分ける方法です。
代償分割
一部の相続人が多く遺産を相続し、その相続した代わりにお金を支払うことで調整する方法です。
共有分割
相続人が持ち分を決めて相続する方法です。例えば相続人が3人いる場合、家をそれぞれ1/3ずつ持ち分をわけて相続するやり方です。
遺産分割協議書の作成完了まで
遺産分割協議では、相続人全員で誰が・どの財産を・どの程度相続するか決めていきます。法定相続分を参考にすると話し合いがスムーズに進むかと思います。相続財産を誰にどのように分配するか決まったら、遺産分割協議書を作成していきます。
遺産分割協議書の書き方
遺産分割協議書の書式に決まりはありません。下の図を参考に作成してください。
遺産分割協議書には相続人全員の署名押印が必要です。また、誰が見てもわかるように書く必要があり、誰がどの財産をどのくらい取得するかできるだけ具体的に書きます。
作成のポイント
- 誰が、どの財産を、どれだけ取得するか明記する
- 実印を用意
- 相続人全員の署名押印をする。
- 印鑑証明書の記載通りに住所を書く
- 作成日を記入
- 複数枚になる場合は契印をする。
遺産分割協議書が複数になる場合はホッチキスで止めて契印をします。
遺産分割協議書は不備があると新しく作り直さなければなりません。作成にはかなりの手間がかかりますので、はやい段階から行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。
遺産分割の話し合いがまとまらない時は、相続税の申告の期限等もあるので、早めに弁護士などの専門家にご相談ください。